弁護士費用にも価格競争が?相談料無料の法律事務所は気を付けるべきか

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平成16年4月より弁護士報酬の自由化が始まり、法律事務所ごとに価格を設定できるようになりました。これに伴い弁護士報酬に価格競争が起こり、30~60分の相談料を無料にしている事務所が増えています。しかし、例えば通販の定期購入のように、安いのは初回のみ、というパターンも考えられます。

相談料無料は落とし穴ではないのか調べてみたので、弁護士を探している人は参考にしてください。

法律事務所の相談料はいくらかかるのが一般的か

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多くの法律事務所で設定している相談料は、30分5,000円です。60分5,000円だと良心的と言えるでしょう。

これを無料にしている法律事務所の目的は、宣伝です。無料にして依頼してもらえなかった場合はムダな時間になってしまうものの、粗利率の高い仕事なので、基本的に経営に影響が出る事務所は少ないです。10件相談を受けたうち、1件でも依頼につながれば利益が出るとされています。

それに加えて、近年はインターネットで情報を集めるのが主流です。ですから、無料相談を実施したほうが検索エンジンで上位表示されるようになり、法律事務所の認知度が高まります。

全ての法律事務所が相談料無料にできるわけではない

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弁護士報酬の自由化は、安価なサービスの提供を加速させることだけでなく、弁護士が扱う分野の専門化の促進も目的とされていました。その効果もあって、近年では各分野に特化した法律事務所が増えています。得意分野を大々的に宣伝することで、弁護士業務の効率化が図れますし、仕事をよりハイレベルなものにしていくことも可能です。

また、クライアントにとっても選びやすい状況になりました。法律事務所にとって、相談料無料のサービスは格好の宣伝となりますが、全てのところで実施するのは難しいようです。例えば離婚問題や不動産問題などを得意とする法律事務所で相談料無料をすると、依頼につながらないような相談が多くなるので難しいと言われています。

反対に収益につながりやすい分野は、交通事故や債務整理、相続問題などです。

弁護士報酬の仕組み

弁護士報酬の自由化が実施される以前は、日本弁護士連合会報酬等基準が定められており、これによって報酬が算定されていました。自由化以後は、法律事務所が自由に算定できるものの、以前の基準を参考にしているところは少なくありません。

弁護士報酬は、相談料を除いて、着手金と報酬金、実費で構成している法律事務所が多く、この他に手数料や日当などを加算するところもあります。着手金とは元手となるお金で、報酬金は成果があった場合に発生するお金です。

着手金は最低額を10万円として、請求額の8%を最高額と考えるといいでしょう。そして、報酬金は回収できた金額の16%が目安です。

この割合は報酬等基準が基になっているので、これより安く設定している法律事務所は少なくありません。

それから、中には着手金も無料にしている完全成功報酬制のところもあります。着手金は、裁判などで負けて回収できなかった場合も支払わなければいけませんが、完全成功報酬制ならば払う必要はないです。

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着手金無料の完全報酬制は本当に安いのか?

弁護士業務はボランティアではありません。弁護士は従業員に給料を渡すために報酬を得なければいけませんし、家賃なども支払わなければいけません。それなのに、着手金無料で完全成功報酬制にして、経営は成り立つのでしょうか。

こうした料金体系にしている法律事務所が扱う分野は、交通事故や過払い金請求などが多いです。高い確率で回収できる案件に限っていることが分かります。しかし、完全成功報酬制を謳っている法律事務所の中には、ホームページに明確な料金体系を提示していないところもあるので、注意が必要です。

報酬金が異常に高く設定されている可能性や、他の諸費用が発生する可能性はゼロではありません。回収できない場合でも、書類作成費用や調査費用、弁護士の交通費などの実費は当然請求されるでしょう。弁護士会では、各法律事務所に報酬基準を備え置くことを義務付けています。

ですから、ホームページに報酬基準を明示している法律事務所を選ぶといいかもしれません。それから、弁護士は裁判で勝てる見込みが低いと判断すると、和解に持ち込むのが一般的です。それが完全成功報酬制になると、勝てる可能性が高くても報酬を手に入れるために低い金額での和解に持っていく可能性は否定できません。

弁護士に相談するときの注意点

弁護士に依頼したいことがある場合、まずは法律事務所に予約を入れて相談に行きましょう。こんなことを相談しても良いのだろうか、と思う内容であれば、まず無料の電話相談や役所や法テラスなどで行っている法律相談を利用するのも一案です。

相談料は無料でも有料でも、親身に相談に乗ってくれる弁護士かどうかが重要なポイントです。

そして、相談のときにはかかる費用も聞きましょう。近年は、何箇所かの法律事務所で見積もりをもらって比較する人も増えています。ただし、見積もりが有料のこともあるので、注意が必要です。完全成功報酬制の法律事務所の場合は、特に念入りに見積もりを確認すると安心です。

この他にかかる費用があるとしたら、幾らくらいなのかをはっきりさせておくといいでしょう。また、弁護士は依頼人と委任契約を結んで仕事を行いますが、途中に契約が終了した場合に発生する費用についても聞いておいてください。

それから、相談時間は30分単位に設定している法律事務所が多いです。時間を有効に使うために、予め相談内容を整理しておくといいでしょう。

何が問題になっているのか、どうしたいのかなどをメモして、参考になる資料などがあれば持っていきます。弁護士は多くの参考資料があれば、それだけその案件にかかる時間や費用などを計算できます。ただし、勝ち目がないなど、法律事務所の利益とならない案件は引き受けてもらえない可能性があることは、念頭に置いておいてください。

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弁護士費用は妥当な金額なのか

弁護士費用は一般的に安くありません。1案件につき、最低でも数十万円かかります。しかし、訴訟や調停、示談交渉のいずれにしても手間と時間がかかる仕事であり、訴訟事件となると1年以上かかることも珍しくありません。

そう考えると決して高いとは言えない報酬です。それでも、弁護士費用が想像以上に高くなった場合や、着手金が用意できない場合などがあるかもしれません。法律事務所の中には分割払いに応じてくれるところもありますし、法テラスで立て替えてもらうことも可能です。

また、先払いが原則である着手金の後払いを認めてくれる法律事務所もあります。困ったことがあれば、遠慮なく支払い方法について相談してみましょう。